what, who, where を使うときには気を付けて=ガラリと変わる英会話 14
ご無沙汰していました、ロドリシンコ博士です。大好きな日本と日本人のために、他の国々
の人々と気持ちを通じ合えるための英語コミュニケーションについて書いています。
今回は「what, who, where を使うときには気を付けて」です。 英語コミュニケーション
のポイント4種類、1.言葉の選択、2.声と音、3.発音、4.内容の構成、の中の
4.内容の構成 に当たります。
手短に言えば、伝えたいことを日本語で思い浮かべてそのまま文法的に正しい英語に翻訳
して会話で使うと、時には失礼、時には威圧的なことになって本当の気持ちが伝わらないという
ことです。
日本の英語教育はとにかく文法から入ります。今では多くの他国人が暮らしているとはいえ、
家族や親せきに生活で他言語を使う人が非常に少ない日本では、まだまだ英語は遠い言語なので
しょう。英語ばかりではなく、日本語以外が生活に当たり前のように使われていないので、英語
を学ぶときは、まずは理解するための法則として文法を学ぶように、学校の英語教育がなって
います。その最初が、書かれている英語を理解すること、だから文法が重要です。日本語でも
同様で、普段話すときよりも書くときの方が文法として正しい表現を使います。
この、”文法ファースト”がコミュニケーションでは曲者です。
日本語でも同じですが、書く言葉を会話としてしゃべったら硬い言い回しになります。時には
ニュアンスも変わります。だから大切なことや微妙なことを電子文書(e-メールなど)で伝える
のは難しいのです。手段として手紙しかなかった昔には、非常に多様な表現を駆使して心の中を
伝える苦心をしていたことでしょう。
今回は、相手に尋ねたいことがある場合を取り上げます。
問いかけたい質問をそのまま直接言葉に表して尋ねると、実際には非常につっけんどんな、
あるいは冷たい事務的な、あるいは警察官の取り調べのような質問になることが多いのです。
例えば名前。相手の名前を尋ねたいときに、”あなたの名前は何ですか。”と思い浮かべて、
学校で習った文法を駆使し、”What is your name?”、”What’s your name?” が日本人の頭に
浮かびます。これは、非常に形式ばった冷たい問いかけで、役所の窓口で ”お名前は?”と言わ
れる感じです。
トイレの場所を尋ねる ”Where is a bathroom?”(トイレの場所を言いたまえ、という感じ)、
相手の職業を知りたいときの”What is your job?” (君の職業は何、君は働いているのか、
って感じ)なども同様です。友人の集まりに見かけない人がいるときに “Who are you?”
(お前は何者だ、って感じ)、は最悪です。
尋ねたいことを尋ねてはいけないというならば、ではどうすればいいでしょうか。
一つ一つの言い方をしっかりと勉強して覚えればもちろん問題ないのですが、たくさん覚える
前に硬くつっけんどんにならない法則をお伝えします。シチュエーションに応じてたくさんの
言い方があるでしょうが、まずは友好的にコミュニケーションを取りたい場合の会話では、
what、who、where、why を使わないで、その知りたい背景や状況を話すようにするのです。
すると相手は状況を理解してあなたの知りたいことを教えてくれるはずです。
例を挙げてみます。
名前なら、”I’m Kenjirou. You are.” と言えば相手も名乗ります。あるいは初対面であっても、
“I’m so sorry, I forgot your name.” と言えば、初めてですよと言って名前を
言ってくれることでしょう。
物や場所を探している場合は簡単で、例えばトイレを探しているなら”I’m looking for a bathroom. “
と言えば大抵は場所を話してくれます。
職業については非常に普通に ”What do you do?” と尋ねます。what を使いますが、事務的
だったり相手を問い詰めるようなニュアンスはありません。ちなみに、サラリーマンですとか
会社名などの雇用形態を答える日本人とは違って、欧米では会計士です、薬剤師です、英語を教えて
います、といった技能や職種を答えるのが一般的のようです。
見覚えない人がいたら、その時の誰か(例えばミサコさん)を引き合いに出して、
“You must be a friend of Misako’s.” (確かミサコの友達だよね。)とか、”Could I talk to you?
I’m Kenjirou.” (お話ししてもいいですか。私はケンジロウと言います。) と言えば、相手は自分
の素性を述べてくれるのが普通です。
こんな風に接してみて、それでも相手に尋ねたいことが伝わらない場合には、その時こそは
柔らかい声の調子で文法通りの質問をするのは大丈夫です。つっけんどんだったり、冷徹だったり
には受け取られないと思います。
こんな感じで、特に疑問文については、学校で習った文法通りの質問をすると冷たい事務的になり
得ることを覚えておいて、直接質問ではなく状況を伝えて相手に答えてもらうようにしましょう。
あなたのコミュニケーションが変にギクシャクしたものにならないように祈っています。
それではまた会いましょう。お休みなさい。